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トヨタF1完全撤退、山科代表会見で号泣

 トヨタ自動車は4日、02年から参戦していたF1シリーズからの完全撤退を発表した。都内での会見で豊田章男社長が、厳しい経営環境の中、継続が困難と判断したことを説明。支援してきた中嶋一貴(24)小林可夢偉(23)の日本人ドライバー2人の去就も宙に浮き、チーム代表だった山科忠専務は無念さと申し訳なさから、会見途中に涙で言葉を詰まらせた。これで、83年から継続して製造者部門やエンジン供給でF1にかかわってきた日本チームは、すべて姿を消すことになった。

 チーム代表の山科専務が会見中に突然、号泣し始めた。中嶋、小林が所属する育成プログラムTDPについて聞かれ、継続して子どもの育成を担当することを説明した直後だった。「中嶋と小林をここまで育てて…(絶句)、できれば、どこかのチームに乗せてあげたい」。あどけなさが残る少年時代から見守り、育て上げた若武者2人の将来を奪うかもしれない決定に、言葉を詰まらせた。

 トヨタは8月には12年までの参戦にサインしていたが、シーズン終了直後の急転回。チームの売却も断念し、F1活動をしないチームは解散したのと同じ状況だ。昨年撤退したホンダを買収したブラウンGPはチームが残り、前年に起用したバトンとバリチェロはF1参戦を継続できたが、今回は受け皿が消滅した。また、他チームへのエンジン供給もしない完全撤退のため、今年の中嶋のように供給先のチームに所属する可能性もない。

 正ドライバーの負傷による代打出場のわずかなチャンスを生かして、最終戦のアブダビGPで6位入賞の結果を出した小林には、残酷な状況になった。チームのハウエット社長も小林を来年の正ドライバーに昇格させることを明言するなど、夢の実現が目前だった。それがわずか3日で、地獄に変わった。

 年間数百億円という費用が必要なF1では、ドライバーは傑出した才能と実績を持った一握りを除けば、個人が持っているスポンサーの大きさがチーム加入にものをいう。中嶋と小林はこれから所属チームを探すことになるが、トヨタという最大の後ろ盾を失ったことと、出遅れたことで厳しい交渉が予想される。

 昨年のスーパーアグリの撤退でF1のシートを失った佐藤琢磨(32)も復帰に向けてアピールを続けてきたが状況は厳しく、最近は米インディカーシリーズ転向も視野に入れている。87年の中嶋悟氏参戦以降、来年は00~01年以来、9年ぶりに日本人ドライバーのいないF1シリーズになる恐れが出てきた。

 [2009年11月5日8時7分 紙面から]


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